介護中の父が、何度声をかけても水分を全然飲んでくれなくて…夏場が本当に心配で。
介護現場で10年働いてきた経験から、水分補給のコツと脱水のサインをお伝えしますね。
「何度声をかけても飲んでくれない」「どれだけ飲めばいいの?」
在宅で介護をしているご家族から、こんなお悩みをよく聞きます。
私自身も介護の現場で、水分をなかなか取ってもらえない高齢者さんをたくさん見てきました。そして脱水になってしまい、一気に体調を崩してしまう場面も。
脱水は、正直なめていると怖いです。でも、正しく知って少し工夫するだけで、グッと防ぎやすくなります。
まず知ってほしい「脱水は夏だけの話じゃない」

「脱水=夏の熱中症」というイメージを持っている方が多いのですが、実は冬の方が気づきにくくて危険だったりします。
冬は汗をかかない分、喉の渇きを感じにくく、水分補給を忘れがちになります。でも体から出ていく水分量は夏と大きく変わりません。暖房で室内が乾燥していれば、皮膚からも知らない間に水分が奪われています。
脱水は季節を問わず、一年中起こりうるもの。だから「今は夏じゃないから大丈夫」は禁物です。
高齢者さんが水分を取らない「本当の理由」
「何度言っても飲んでくれない」と感じているご家族は多いと思います。でも飲まないのには、ちゃんと理由があるんです。
喉の渇きを感じにくくなっている
加齢とともに、喉の渇きを感じるセンサーが鈍くなります。体が水分を必要としているのに、本人は「別に喉は乾いていない」と感じていることも。
だから「喉が乾いてから飲む」では遅い。気づいた時には脱水が始まっていることもあるのです。
実はトイレが心配で控えている
これ、現場でよく聞く本音なんです。
頻尿が気になる高齢者さんは、トイレの回数を減らしたくて意識的に水分を控えてしまいます。排泄介助をお願いするのが恥ずかしい、という気持ちもあったりして。
「飲まない」のではなく「飲めない事情がある」と知るだけで、関わり方が少し変わると思います。
筋肉が減ると体の水分も減る
筋肉には多くの水分が蓄えられています。加齢や活動量の低下で筋肉量が減ると、体全体で保持できる水分量も少なくなります。
つまり高齢者さんの体はもともと脱水になりやすい状態にあるということ。だからこそ、意識して補給することが大切なんです。
こんなサインが出たら脱水を疑って

介護の現場でよく見るサインをまとめました。いくつか当てはまるようなら、早めに水分補給を促してあげてください。
- 唇や口の中が乾燥している
- 手の甲の皮膚をつまんだ後、すぐに戻らない
- 爪を押しても色がすぐに戻らない
- 尿の回数が少ない、または色が濃い
- なんとなく元気がない、ぼーっとしている
- 立ちくらみがする
- 食欲がない、体重が減っている
症状が進むと発熱・頭痛・嘔吐につながることも。「なんか変だな」と感じたら早めに対処を。
発熱や嘔吐で水分が急激に失われた時は、水よりもポカリスエットや経口補水液の方が体への吸収が早く効果的です。
訪問した際に体が熱くてぐったりされている方を見かけることも、介護現場では珍しくありません。そんな時、ご自宅にポカリスエットが常備してあると本当に助かります。
少しずつ飲んでもらいながら、無理せずゆっくり体を休んでもらう。それだけで、思ったより早く回復されることも多いんです。「大事にならなくてよかった」と胸をなでおろすことも、現場では何度もありました。
ポカリスエットや経口補水液を1本、常備しておくことをおすすめします。
体調不良や熱中症に備えた在宅介護グッズについては、こちらの記事もあわせてご覧ください👇
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1日の水分補給の目安と、無理なく続けるコツ

飲み物として補給したい目安は1日1,500ml程度。「そんなに飲めない」と感じるかもしれませんが、一度にたくさん飲む必要はありません。少量をこまめにが基本です。
- 朝起きたらコップ1杯の水
- 朝食・夕食に味噌汁やスープ
- 10時・15時にお茶タイム
- お風呂の前後に水分補給
- 寝る前に一口
「飲む時間」をあらかじめ決めてしまうと、声がけのタイミングがわかりやすくなりますよ。
「飲んでくれない」時は、飲み物にこだわらなくていい
お茶を出しても全然飲んでくれなくて、毎回困っています…
まず「何が飲みたいか」を聞いてみてください。意外な答えが返ってきますよ。
現場で実際にあったのですが、「コーヒーが好きなんだ!」とおっしゃる高齢者さんがいて、お茶を出し続けていたご家族がびっくりされていました。
冷たいものが苦手、温かい緑茶がいい、甘いものが飲みたい…本音を聞いてみると、案外すんなり飲んでくれることもあります。
それでも「飲み物」が難しければ、食べ物から水分を補うという方法もあります。
- ゼリー・ゼリー飲料
- ヨーグルト・プリン
- アイスクリーム
- スイカ・みかん・いちごなどの果物
- トマト・きゅうり
- 豆腐・卵豆腐
- 味噌汁・スープ
「水分=飲み物」にこだわらず、好きなものから自然に補えるといいですよね。おやつにゼリーやフルーツを出すだけでも、立派な水分補給になります。
「目の前に置いておく」だけで変わること
私が訪問介護の現場でやっていた工夫のひとつが、飲み物をコップに注いで、ご本人のテーブルの上に置いておくこと。
冷蔵庫にポカリスエットや麦茶、お水が用意してあれば、それをコップに移して「後でよかったら飲んでくださいね」と一言添えてそっと置いておく。それだけです。
「手元にあったら飲めるから助かる」という声を実際に何度も聞きました。自分から取りに行くのが面倒だったり、立ち上がるのが億劫だったりする方でも、目の前にあればふとした時に口をつけてくれるんですよね。
声がけよりも、さりげなく「置いておく」の方が効果的なこともあります。
飲み物だけじゃなくていいんですね。それなら気が楽になりました!
一緒に飲む時間をつくるのが、一番効いた
「飲んで」と声をかけるより、一緒にお茶を飲む時間をつくる方が、自然に水分を取ってもらえることが多かったんです。
季節の果物を添えたり、ちょっとしたお菓子と一緒に「おやつの時間」にしてしまうと、会話も弾んで本人も楽しんで飲んでくれる。
水分補給を「義務」じゃなく「楽しみ」に変えてしまうのが、長続きのコツだと思っています。
冬でも脱水になりますか?
なります。冬は汗をかかない分、喉の渇きを感じにくく水分補給を忘れがちになります。また暖房による室内の乾燥で皮膚からも水分が奪われます。夏と同様に、こまめな水分補給を心がけてください。
水分補給にジュースやコーヒーでも大丈夫ですか?
緑茶・コーヒーには利尿作用があり、飲みすぎると逆効果になることもあります。ただ「全く飲まない」より「好きなものを少し飲む」方が大切な場面もあります。水やお茶以外でも、本人が好んで飲んでくれるならそれを活用する工夫も◎です。
脱水のサインに気づいたら、どうすればいいですか?
まずは少量ずつ水分を補給してください。元気がない・発熱・意識がもうろうとしているなど、症状が重い場合はすぐに医療機関か担当のケアマネジャーにご相談を。迷ったら早めに専門家へ。
まとめ|水分補給は「一緒に」が一番
在宅介護って、毎日のことだからこそ疲れますよね。「また飲んでくれなかった」と落ち込む日もあると思います。
でも、完璧じゃなくていいんです。
飲み物にこだわらず食事から補う、好みを聞いて出してみる、一緒にお茶の時間をつくってみる。
小さな工夫の積み重ねが、大切な人を守ることにつながります。一人で抱え込まず、無理なく続けていきましょう。
介護をしていると、自分が疲れていることにすら気づけなくなることがあります。大切な人のために頑張るのと同じくらい、自分を休ませる時間も大切にしてください。また、高齢の親との付き合い方に迷う時もきっとあると思います。一人で抱え込まず、そんな時はぜひ読んでみてください。
介護のことで不安なこと、いつでも気軽に話しかけてくださいね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。