「介護しながら休んでいいんだろうか…」
そう思いながら、今日も疲れた体でご家族の世話をしているあなたへ。
まず最初に伝えさせてください。介護している人が、休んでいい。これは権利です。
もう限界かも…でも「自分が休んだら誰が世話するの」って思うと、休めないんです。
その気持ち、すごくわかります。でも、あなたが倒れてしまったら、大切な人を守れなくなる。休むことは「逃げ」じゃなくて、「続けるための選択」なんです。
レスパイトケアってなに?
レスパイトケアとは、介護している家族が一時的に介護から離れて休息を取れるようにする支援のこと。「respite(レスパイト)」は英語で「一時的な休息・猶予」を意味します。
ショートステイやデイサービスを使って、ご本人を一時的にプロに預けながら、介護者であるあなたが休む時間をつくる。それがレスパイトケアです。
現役介護士が見た「限界を超えた家族」のリアル
私は介護士として、在宅で介護をされているご家族の現場に入らせていただくことがあります。そこで目にしてきた光景をお伝えします。
あるご家庭では、息子さんがお父様と同居しながら毎日介護をされていました。何度説明しても伝わらない、同じことを繰り返す——そんな日々が続いていたのだと思います。ある日、お父様に向かって大きな声を出してしまう場面がありました。
その後、お父様は亡くなられました。息子さんが今どんな気持ちでいるか、私にはわかりません。でも、「あんなことを言わなければよかった」と、どこかで思っているかもしれない。これは私の憶測ですが、そう感じずにはいられませんでした。
別のご家庭では、娘さんがお母様のオムツ交換をヘトヘトになりながら続けておられました。傍から見ると、もうかなり限界に近い状態。でも、ご本人はそれに気づいていないんです。お母さんへの愛情が強いからこそ、一生懸命すぎて、客観的に自分を見られなくなっていた。
介護に一生懸命なのは、決して悪いことじゃない。でもその一生懸命さが、知らないうちに自分を追い詰めていることがある。私はそういう場面を、現場で何度も見てきました。
介護する人を支えることも、介護のうちだ——私がそう強く感じるのは、こういう経験があるからです。
「休むことへの罪悪感」、感じていませんか?
介護している人の多くが、こんな罪悪感を抱えています。
- 「自分が休んでいる間、親はどう思うだろう」
- 「施設に預けるなんてかわいそう」
- 「頑張れないのは自分が弱いから」
でも考えてみてください。毎日休みなく走り続けた先に待っているのは、燃え尽き。倒れてからでは、自分もご家族も辛い思いをします。
休むことは、介護を長く続けるための知恵です。プロの力を借りることは、決して「逃げ」じゃない。
レスパイトケアの主な種類
① ショートステイ(短期入所)
数日〜数週間、施設に泊まりで預かってもらうサービス。介護保険が使えるので自己負担は1〜3割程度。まとまった休息が取れます。
② デイサービス(通所介護)
日中だけ施設に通ってもらう形。食事・入浴・リハビリなどのサービスがあり、帰宅後は自宅で過ごせます。毎日のちょっとした休憩時間を作るのに向いています。
③ 訪問介護・訪問看護
ヘルパーや看護師が自宅に来てくれるサービス。親が「外に出たくない」という場合でも利用しやすいです。ただし、近年はヘルパー不足が深刻化しており、希望通りに利用できない地域もあります。早めにケアマネさんに相談するのがおすすめです。
④ 介護保険外の民間サービス
介護保険の対象外でも、民間のマッチングサービスを使えば家事支援や外出同行などをお願いできます。要介護認定がなくても使えるものもあるので、「まだ軽度だから…」という方にも向いています。
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使い方・申請の流れ
難しく考えなくて大丈夫。基本的な流れはこれだけです。
- 担当のケアマネジャーに相談する(「疲れていて休みたい」と正直に話してOK)
- 利用するサービスを一緒に決める
- 体験利用や見学から始める
ケアマネさんに弱音を見せるのが怖い、という方もいますが、ケアマネさんはまさにこういう相談のためにいる人。遠慮しないで話してみてください。
ケアマネさんに「限界です」って言ったら、引かれませんか…?
引きません!むしろ「早く言ってくれてよかった」と思うはず。一人で抱えずに、一緒に考えましょうと言ってもらえる存在です。
よくある質問
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 介護保険が適用されるサービスなら、自己負担は1〜3割程度(所得により異なります)。ショートステイの場合、1日あたり数千円が目安です。詳しくはケアマネさんに確認してみてください。
Q. 親に「施設に預けるの?」と言われたら?
A. 「少し休んだほうが、もっと長く一緒にいられるから」と伝えてみて。レスパイトは介護を諦めることではなく、続けるための準備。まずは体験利用で慣らしていくのもおすすめです。
Q. 要介護認定を受けていないと使えない?
A. 介護保険のサービスは要介護認定が必要ですが、民間サービスは認定なしでも利用できます。まず地域包括支援センターやケアマネさんに相談してみてください。
まとめ|疲れたときは、休んでいい
レスパイトケアは、「親を見捨てる」のではなく「介護を続けるために休む」選択肢です。
現場で見てきた経験から言うと、限界まで頑張った人ほど、ある日突然動けなくなってしまう。そうなってからでは、ご本人もご家族も辛い思いをします。
「疲れた」と感じているなら、それはもう十分頑張ってきた証拠。今日、ケアマネさんに一本電話するだけでも、一歩前進です。
あなたが笑顔でいられることが、大切な人への一番の贈り物だと思っています。
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