親戚が亡くなっていたことを、あとから知りました。どうして連絡してくれなかったんだろう…って、いまだに引っかかっているんです。
うちも同じでした。3年前、叔母が亡くなっていたことを喪中はがきで知ったんです。あのときのことを、今日は書かせてくださいね。
2024年、年末が近づいたころでした。兄の家に、1枚の喪中はがきが届きました。
差出人の欄を見て、兄は初めて知ったそうです。母の妹が、もう亡くなっていたことを。
お葬式は、とっくに終わっていました。
兄の家に届いた1枚のはがきで知りました
兄は叔母と年賀状のやり取りをしていたそうです。だから喪中はがきが届いたんですね。
母のところには、何も来ていませんでした。実の姉なのに、です。
この知らせを聞いたときの母の顔を、私は今も覚えています。怒っているというより、どう受け止めたらいいのか分からないという顔でした。
妹が亡くなった。それも、ずいぶん前に。
最後に会うことも、手を合わせに行くこともできないまま、時間だけが過ぎていたことになります。
母は5年ほど前に、兄と一緒に叔母に会いに行っていました。それが最後です。そのあとも、ときどき電話では話していたようでした。
電話で話していた相手が、いつの間にかいなくなっていた。母にとってはそういうことだったと思います。
叔母は、子どもがなくひとりで暮らしていました
叔母には子どもがいませんでした。ご主人を先に亡くして、ひとりで暮らしていました。持病もあったと聞いています。
家のことは、近くに住んでいた親戚の一人に任せていたようです。
つまり叔母は、自分がいなくなったあとのことを、ある程度は決めていたんですよね。
何も考えていなかったわけじゃない。むしろ、考えていたほうだと思います。
ただ、その「決めていたこと」の中に、姉である母への連絡は入っていなかった。
「それならはがきも寄こすな」と兄は言いました
はがきを見た兄は、すぐに電話をかけたそうです。
兄は思ったことをそのまま口にする人です。かなり強い言い方だったと、あとから聞きました。
「誰にも知らせるなって言われたんなら、こんなはがきも寄こすなよ」
母も母で、強く言っていました。
「誰か1人でも連絡するのが当たり前だろう」
実の妹が亡くなったことを、はがき1枚で知る。母にしてみれば、そういうことでしたから。
「誰にも言わないでくれ、と言われたから」
母の気持ちを思うと、私もいたたまれなくなって。
私の気持ちもどこに持っていったら良いのかも悶々としていて
叔母の近くに住んでいた親戚の家に、勇気を出して私が電話をかけました。
電話に出てくれた方が、教えてくれました。
「誰にも言わないでくれ、と本人に言われていたんです」
だから、その通りにしただけだ、と。
正直に言うと、その場では何も言い返せませんでした。
だって、本人の希望なんですよね。亡くなった人が生きているうちに口にした願いを、勝手に破るわけにはいかない。その立場になったら、私も同じようにしたかもしれません。
誰も悪くない。でも、母の中には行き場のない気持ちだけが残りました。
母と兄は、その言葉を疑っていました
ここからは、家の中でも意見が分かれた話です。
母と兄は、こう言っていました。
「死んじゃってからじゃ、本当のことは分からないんだから」
つまり、あとから都合よく言っているだけじゃないのか、ということです。かなり強い言い方でした。
私はそれを、そばで聞いていました。
でも私は、そうは思わなかったんです。
叔母は、たぶん本当にそう言ったんだろうなと感じていました。
理由があります。
叔母のご主人が亡くなったときも、同じだったんです。
そのときも、葬儀が終わってしばらく経ってから、叔母本人が電話で知らせてきました。
あとから知らせるのは、今回が初めてじゃなかったんですね。
そういう人だったんだと思います。バタバタさせたくない。来させたら悪い。落ち着いてから伝えればいい。
だから、今回も本人が言ったんだろうと私は思っています。
ただ、そう思ってもです。
ご主人のときは、あとからでも叔母が自分で電話をくれました。叔母自身のときは、その電話をかけてくれる人がいなかったということになります。
そこだけが、どうしても引っかかっているんですよね。
それでも、はがきは届いたんですよね
そう思ってはいても、兄が言ったことが頭から離れませんでした。
言い方はきつかったけれど、言っていること自体は、たしかにそうなんです。
本当に誰にも知られたくなかったのなら、喪中はがきなんて出さなくていい。年賀状のやり取りだって、黙って途切れさせればそれで済んだはずです。
でも、はがきは出された。
叔母自身が生前に手配していたのか、残された人が慣例として出したのかは分かりません。そこは今も分からないままです。
ただ、私が思ったのは「知らせないで」という言葉は、本当に全部だったんだろうかということでした。
迷惑をかけたくない。騒がせたくない。遠いのに来させたら悪い。
そういう遠慮から出た「誰にも」だったんじゃないか、と。
叔母の本当の気持ちは、もう聞けません。
でも、ひとことで「誰にも」と言ってしまうと、受け取る側は全部そのまま受け取るしかないんですよね。姉だけは別、とは書かれていないから。
……と、ここまで書いておいて。
正直なところ、私の中でもまだ答えが出ていません。
だって、叔母が自分でそう望んだんです。本人が最後に決めたことなら、その通りにするのがいちばんいいんじゃないかという気持ちも、私の中にはあるんですよね。
連絡してあげてほしかった、という気持ちと、本人の希望なんだから仕方がない、という気持ち。
3年たった今も、その両方があります。
私は20年、会いに行きませんでした
でも、人のことは言えないんです。
私自身は、叔母と20年近く会っていませんでした。
住んでいるところが遠かったんです。日帰りできる距離じゃなかった。それを理由にして、行かないままでした。
でも、電話くらいはできたんですよね。
子どもの頃、祖母の家に行くと叔母がいました。夏休みには海やプールに連れて行ってくれたのを覚えています。いつもニコニコしている人でした。
振り返ると、自分の子供のように本当によくしてもらいました。
それなのに、大人になってからの私は一度も電話をしていません。
「連絡がなかった」と言える立場だったのかな、と思います。
母が受けたショックとは別のところで、私は私で、自分に対してやるせない気持ちになりました。
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お別れの言葉が言えないまま、お墓だけが残りました
知らせを受けたときには、もう全部が終わったあとでした。
母は妹の最期を見ていません。私もお別れの言葉をかけていません。
できることは、お墓に会いに行くことだけになりました。
去年、母と兄がお参りに行っています。私は仕事で行けませんでした。
行けなかった日は、家で手を合わせました。ゆっくり休んでください、と。
お葬式って、面倒なものだと思っていた時期があります。形式ばっていて、お金もかかって、気を遣って。
でも今は少し違うことを思います。
あれは、残される側が気持ちを置いてくる場所だったんだな、と。
その場所がないと、気持ちは行き場をなくしたまま残ります。母の中には、まだあると思います。
叔母と私は、たぶん同じ立場でした
この話を聞いたとき、他人事じゃないなと思ったんです。
私は48歳、未婚、ひとり暮らし。子どももいません。
叔母と、ほとんど同じ立場です。
とくに重なったのが、自分の家をどうするかという話でした。
私が死んだあと、この家は誰が片づけるんだろう。中のものは。手続きは。
子どもがいないと、全部それを誰かにお願いすることになります。そして、お願いされた側にも自分の生活があるんですよね。
叔母から任された方も、きっと大変だっただろうなと思います。
叔母が「誰にも知らせないで」と言った気持ち、分からなくもないんですよね。迷惑をかけたくなかったんだと思います。
でも、その遠慮が、母の3年になりました。
知らせないことは、優しさのつもりでも、優しさにならないことがある。
これは叔母を責めているんじゃなくて、自分がやりかけていたことだから書いています。
私も「大げさにしないでいい」「誰にも言わなくていい」と言いそうだったので。
「知らせてほしい人」を、まだ誰にも伝えていません
それで私は、自分のことを少しずつ整理し始めました。
まず作ったのが「ありかリスト」です。通帳や保険証券がどこにあるか、スマホの暗証番号はどれか。そういう「探さないと分からないもの」の場所を1枚にまとめた紙で、実家に置いてあります。母にも「ここに書いてあるからね」と伝えました。
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ここまではできました。
でも、今回のことがあって気づいたんです。
「私が死んだら誰に知らせてほしいか」は、まだ誰にも伝えていない。
エンディングノートも、まだ作っていません。
ものの場所は書いたのに、人のことは書いていなかったんですよね。
これ、叔母と同じなんですよね。叔母だって家のことは決めてありました。決まっていなかったのは、そこじゃなかった。
なので、次に足すのはこれにしようと思っています。
- 名前と、連絡先(電話番号かLINE)
- 私とどういう関係の人か(学生時代の友人、職場の同僚、など)
- その紙を、ありかリストと同じ場所に置く
思いつかないときは、年賀状のやり取りが手がかりになりそうです。何年も会っていなくても続いている関係って、けっこうあるんですよね。叔母と兄が、まさにそうでした。
逆に「この人には知らせなくていい」も書いていいと思っています。
大事なのは、「誰にも」で終わらせないことです。
「誰にも知らせないで」だと、残された人は全部そのまま受け取るしかありません。あのとき電話に出てくれた方も、そうするしかなかったんだと思います。
でも「この人たちには知らせて」と名前が書いてあれば、迷わなくて済むんですよね。
手続きを楽にするための紙じゃなくて、残される人が後悔しないための紙だと思っています。
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そして、まだ会える人には連絡してみようと思いました
もうひとつ、この3年でずっと思っていることがあります。
気になっている人には、用がなくても連絡していいんだな、ということです。
「元気ですか」だけの短いメッセージでいいんです。返事が来なくてもいい。
私が叔母にできなかったのは、それだけのことでした。それだけのことを、20年しなかった。
いま、頭に浮かんだ人がいませんか。
何年も会っていない親戚。年賀状だけが続いている人。連絡しようと思いながら、そのままになっている人。
その人には、まだ連絡できます。
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よくある質問
喪中はがきで初めて訃報を知ったとき、どうすればいいですか?
うちの場合は、まず電話をしました。事情を聞きたい気持ちもあったからです。手紙という形なら、年明けに寒中見舞いでお悔やみを伝える方法もあるようです。どちらが正解ということはないと思うので、ご自分がいちばん落ち着く形でいいのかなと思います。
「誰にも知らせないで」と言われた側は、本当に知らせなくていいの?
私は責める気持ちにはなれませんでした。本人の希望を勝手に破るのは、それはそれで苦しいと思うんです。ただ、迷ったときに相談できる相手をひとりだけ決めておくと違ったのかなとは思います。「知らせないで」と言われた側も、けっこうしんどいはずですから。
あとからお墓参りに行きたいときは、どうしましたか?
お墓の場所を知っているご家族に、先に一本連絡を入れてから行きました。急に行くと相手を驚かせてしまいますし、場所が分からないこともあるので。行けない日は、家で手を合わせるだけでも気持ちは少し落ち着きました。
自分は誰に知らせてほしいか、どうやって決めればいいですか?
年賀状のやり取りが続いている人から見ていくと、思い浮かびやすいと思います。私もまだ書けていないので偉そうなことは言えないんですけど、全部きれいに決めなくてもいいはずなんですよね。名前がひとつでも書いてあれば、残された家族はそのぶん迷わずに済みますから。あとから足せばいい、くらいの気持ちで始めようと思っています。
まとめ|「誰にも」で終わらせないでほしいんです
3年前、兄の家に届いた喪中はがきで、叔母が亡くなっていたことを知りました。
叔母は「誰にも知らせないで」と言い残していました。頼まれた人は、その通りにしただけです。誰も悪いことはしていません。
それでも、母には3年たっても消えない気持ちが残りました。
本人の希望を通すのが正しかったのか、それでも誰か1人には知らせるべきだったのか。そこの答えは、正直まだ出せていません。
ただ、この経験から自分で決めたことが2つあります。
- 自分のときは「誰にも」ではなく、名前を書いておく
- まだ会える人には、用がなくても連絡してみる
終活というと、お金や手続きの話が多いですよね。でも私にとっていちばん大事だったのは、誰に知らせるかを決めておくことでした。
それは残される人が、ちゃんとお別れをするための準備だから。
読みながら、何年も会っていない叔母の顔が浮かびました。連絡してみようかな。
ぜひ。「元気ですか」の一言でいいんです。私は20年それをしませんでした。あなたには、そうなってほしくないんですよね☘️
もし今、頭に浮かんだ人がいたら。その人には、まだ間に合います。
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